忍者ブログ
*Admin
SCRaPBooK
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

08在庫整理第一弾。
未完成放置。

不健全注意。





>PLAY


ゆっくりと、ゆっくりと、焦らすように馴すように、幾度か身体を上下に揺らす。引き攣るような痛みがむず痒いような快感に変わっていく。ゴムかゼリーか体液か、クチュとかすかに水音がして、そろそろ頃合いだと告げる。
きわめて事務的に短く息を吐いて、必要最低限の動作で獄寺は息を整える。
「10代目、あの、肩、重くないっスか?」
「うん、大丈夫。」
問われて、ツナは穏やかに微笑んでみせた。
彼は今、アンティークのハイバックチェアにゆったりと腰掛けている。
歴代ボスが、寝室でプライベートにくつろぐために、代々受け継がれてきた椅子だ。大柄な者も多かった彼らのためにしつらえた椅子にすわると、小柄な日本人のツナは、まるで父親に抱かれる子供のようだった。子供のように、安堵した笑顔で安心しきった様子で、彼は浅く椅子に腰掛けている。その両肩を、獄寺の骨張った手が掴んでいる。ツナに比べ、はるかに白いその手の下では、やわらかなガウンにこまやかなドレープが刻まれている。ガウンの下に着込まれた夜空のように深い紺色の夜着は、常より多めに釦が外され、細いV字の間からしなやかに張りつめた胸の筋肉が見て取れた。下半身は、ほんのわずかズボンが降ろされ、ゆったりとした上着の裾から、立ち上がりかけの陰茎が垣間見えている。薄いゴム越しでも、それが朱色に色付いているのがはっきりと見て取れる。根元から先端へ、下腹部の暗褐色から、鮮やかな赤へのグラデーション。その先端は、こちらは剥き出しになった獄寺の白い双丘の間、狭い渓谷へと差し込まれている。
繰り返すが、まだ年若い、しかも東洋人としても小柄なボンゴレ10代目のボスには、この豪華な椅子は大きすぎるのだ。中央に腰掛けると、両サイドに少なからぬゆとりが生まれる。それは、獄寺が両膝を付くのに十分な空間だった。まるで、それらすべてがそうあるように設計された有機体のように、ツナはまどろむような表情でイスに身を預け、その膝の上で、浅い呼吸を繰り返しながら獄寺がゆっくりと腰を揺らしていた。





あてがわれた私室に初めて足を踏み入れたとき、ツナはキングサイズのベッドを見て、重厚なテーブルセットを見て年代物のワインが並んだワインセラーを見て、「これ、二人部屋?」と、傍らに立つ獄寺に冗談めかして笑ってみせたものだった。
「いえ、これは10代目お一人のものです。もっと経験を積んで、正式に9代目が引退なさって跡目を継いで、そしたらもっとすごい部屋だって使えるんスよ。」
「……へー……」
ツナはまるで乗り気でない返事をした。
「これだって、十分豪華すぎると思うんだけどなぁ。ホテルのスイートルームみたい。一人じゃ広すぎるよ。」
いや、乗り気でないどころか、不満があるようにさえ見えた。
「そだ、折角広いんだしさ。獄寺君もこの部屋で暮らしたら?」
声こそ冗談まじりだったが、見上げる視線はどこかあきらめたような色をたたえていた。
「……ありがたいお言葉ですけど、謹んで、辞退させていただきます。オレにも部屋はありますし、それに、オレは、あなたの部下ですから。」
「……ん。そーだったね」
ツナは顔を正面に向けた。すたすたと豪奢なベッドに向かって歩き出す。皺一つない真っ白な敷布が、獄寺の目には眩しかった。
「ま、寝返りも打ち放題だし、こんだけ広ければ散らかし放題だし、せいぜい利用させてもらおうかな。10代目特権。」
そして、ツナは乱暴にジャケットを放り投げ、ネクタイを引き抜きうつぶせにベッドにダイブして、行儀悪く踵で靴を脱ぎ飛ばした。
「おやすみ、獄寺君。」
ベッドに顔をうずめたまま、ツナはそう言った。語尾は震えていたのか、ただうつぶせたためにくぐもって聞こえたのか、獄寺にはわからなかった。
ジャケットを拾い上げ袖を伸ばしソファの背に掛ける。
ああこれも、明日からは、専属の部屋係がやるのか。
ネクタイも結び目をほどいてジャケットの上に。脱ぎ散らかされた靴は踵を揃えてベッドサイドへ。
枕元に寄っても、ツナは顔を伏せたままだった。
『じゅーだいめ』
いつも通り声をかければよかったのに、その言葉は昨日までとはまるで違う響きを持ちそうで、獄寺は何も言えなかった。
うつむくと、先ほど自分で揃えた靴が目に入った。
ああ、ボンゴレ10代目が、まさか二日連続同じ靴を履くわけにはいかないか。
身をかがめ、別な靴を用意しようと手を伸ばした。けれど、明日の朝にはそれ専用のスタッフが来る事を思い出して、結局何も手にする事は出来ないまま、獄寺は再び顔を上げた。ツナは、あいかわらずベッドに顔をうずめたままだった。
『顔上げてください、10代目。オレ、10代目の顔が見たいです。声が聞きたいです。明日が来る前に』
だが、
『じゅーだいめっ!』
その一言が今は口に出来なかった。ここは、日本じゃない。
『……ボス。』
初めて、胸の内で、獄寺はそう呼びかけた。
自分の知る限り、最高の言葉のはずだった。最高の人物に与えられる称号のはずだった。この人を、いつかそう呼ぶ事を心待ちにしていた。けれど、その人は、一人では持てあますほど大きなベッドで、敷布に顔をうずめている。
獄寺の胸を満たしたのは、高揚感ではなく、ひどく冷たい感情だった。
『……じゅーだいめ。』
呼び直すと、ほんの少し、胸に温もりが戻ってきた。顔がほころぶのが、自分でもよくわかった。
今日だけだ。
深呼吸する。肺に息を溜める。今までずっとそうしてきた予備動作。次の一言は決まっている。
「10代目!」
呼びかけると、ツナはゆっくりと顔をこちらに向けた。暗い目に自分が映っていた。鏡のように。それを見ながら獄寺は笑った。大丈夫、笑えている。
「明日、いつも通りお迎えに上がります! 学校よりも遅刻厳禁っスからね! 寝坊、しないでくださいよ!」
「……うん。努力する。」
ゆっくりとゆっくりと、ツナの目はあたたかさを取り戻していった。
「また明日、てゆか、明日からも、よろしくね。」
「ハイ!! 任せてください!」
獄寺は休息を促すにはまるでふさわしからぬ大声を出して、そしてやっと、ツナはいつもの困ったような笑顔を取り戻した。
「おやすみ。獄寺君。」
囁いて、ツナは再び目を閉じた。
その顔を見届けて、獄寺は、これっきりだ、と、心に誓った。
このお方はボスで、オレは部下で、たとえオレがどれほど功績を上げても、名実共にこの方の右腕になれても、(いや、これは仮定ではなく近い将来絶対に、なのだけれど、)でも、オレは、この人の部下なのだ。そうありたい。この人を、誰もが認める、最高のボスにする。してみせる。
その事に、一番最初に気がついたのは、このオレだ。
それがオレの誇りだ。あの日から、それこそがオレの望みだった。
だから、今日が最後だ。この部屋に立ち入るのも。この、優しい寝顔を、けれどどうしようもなく胸が締め付けられる、この寝顔を見るのも。
「おやすみなさい。10代目。」
囁いて、目を閉じて、まぶたの裏にその人の顔が浮かぶ事を確かめて、獄寺はボンゴレ10代目ボスの居室を後にした。





確かに、そう決意したのだ。
「…っく、……ぁ、………」
声を殺しながら、獄寺は抜き差しするテンポを速めていく。向かい合わせに、ツナの両肩に手をかけてはいるけれど、そちらに体重を預けるのは気が引けた。なけなしのプライドの問題。獄寺は、下肢の力だけで状態を上下に揺り動かす。腹圧を調整しながら、身体を引き上げて自分の身体で彼のものを扱き上げる。この行為が好きだった。ツナが、心地良さそうに目を細める。それだけで、獄寺の心は満たされる。なのに、上昇を終えた身体の方はどうしようもない喪失感を訴えて、立ち上げたばかりの上体をまたすぐ沈めてしまう。ぷつりと再び繰り返される挿入の痛み。身体が割かれていく。押し開かれていく。けれど、ひとたび口火を切れば、その先には本来あるはずのない空間が用意されていて、空っぽだったその場所があるべきもので満たされていく。どうしようもなく身体が震える。声が漏れる。これは歓喜だ。本来ゆるされるはずのない喜びだ。半ば自身を呪いながらも、下降していく身体は止められない。そうしてすべてを体内に埋めると、またあの顔が見たくて、未だ喜びに震える下肢を叱咤して獄寺は腰を浮かしていく。
こんな事ばかり繰り返している。




事の始まりは、終業間際に見たツナの手元の書類だった。
明日は何度目かの大規模な幹部会議で、ツナが手にしていたのはそこで読み上げる提言の草稿だ。未だこの国の言葉に不慣れな彼は、細かなアクセントや抑揚の強弱を、彼なりの記号で原稿の上に書き込んでいる。そのなかに一カ所、間違っている部分が目についた。
指摘しようか。
と同時に、何も今、とも思った。
小さなミスだ。明日の朝でも間に合う。間に合わなくとも、会議では隣に座るのだ、その場でこっそり指摘する事だって出来る。なにより、ボンゴレ10代目ボスの発言だ。小さなイントネーションの間違いぐらいなんだ。この人がそう読めばそれが正しい発音になる。それぐらいの気概がなくてどうする。右腕たるこのオレが。失笑でもしようヤツがいたらぶっ飛ばしてやる。今はそんな事より、明日のために10代目を早く休ませて差し上げる事の方が重要だ。最優先だ。
だから、獄寺は原稿に付いてはあえて触れず、今日は早めに切り上げましょう、と、そう言って執務室を後にしたのだ。二人で部屋を出て、軽い別れの挨拶をして、ツナの背を見送って、自分も踵を返して自室に戻って、早く休もうと服を脱いでシャワーを浴びて、その間ずっと、アルファベットの上の手書きのイントネーション記号のことを考えていた。
本当に些細な、とるに足らないミスなのだ。でも、まちがっている。まちがってますよ、と、指摘できる。どうしても気になって、と、言いに行くことができる。会いに行くことができる。10代目に会える。
そう思うと、居ても立ってもいられなかった。
辞めるんじゃなかったのかよ。アレで最後じゃなかったのか?
毒づいたら、でもこれは仕事だと反論が返ってきた。
仕事? 明日でいいって決めたのは誰だよ。休息優先じゃなかったのかよ。
でも、決めたのはオレだ。今日でもいい。今でもいい。今ならまだきっと起きていらっしゃる。会いに行ける。会える。10代目に会える。
ガン、と一発、獄寺はシャワールームの壁を叩いた。
馬鹿かオレは。口実だ。結局ただ会いたいだけじゃないか。10代目にお会いしたいだけだ。
言葉にすると、あれだけ脳裏を占めていたは彼の字は彼の顔に見事にすり替えられてしまった。
本当に、会いたいだけだ。会いたいだけだから、こんな気持ちじゃ会いには行けない。会いに行けない。
会いに行けない。会いに行けない、あいにいけない、あいにいきたい、あいたい。会いたい。10代目に会いたい。あいたい。
同じ言葉がぐるぐると巡る。
同じ言葉しかでてこないから、余計に会いに行けない。
ばっかじゃねーの!
お前は、右腕に、なるんじゃなかったのかよ!?
毒吐いて、罵って、それでもまだ会いたい。自棄になって自慰まがいの行為までして、荒い息を吐いて、それでもまだ収まらない。どうしようもない。救いようもない。愚かで惨めでみっともなくて、こんなやつが、『右腕』?
汚れた手を洗い流して、もう一度壁に叩き付けて、こんな手でなれるものかとぎりぎり奥歯を噛み締める。
それでも、出てくる言葉は一つだけだった。
ああもう、どうしようもない。
『会いに行くだけだ。』
新しいシャツに袖を通して、ぞんざいに髪を乾かして、いかにも急な用件を思い出した風を装って、獄寺は自室を後にした。自戒を繰り返す。
本当に、ただ会いに行くだけだ。
そんな『本当』はどこにも存在しないだろうと知りながら。




そして結局。今や綺麗にプレスされていたパンツは皺だらけになって床に脱ぎ捨てられ、白いシャツの裾には粘着質の体液がべっとりと付着している。
自嘲の声も、スーツとともにどこかに投げ捨ててしまった。もう目の前の人の事しか考えられない。
獄寺は一心に身体を揺らす。上体を反らすと、自分の内部のよいところも擦れて勝手に甘ったるい吐息が漏れた。















「そんなに気持ちいいの?」
くすっとツナが笑う。
「ね? 獄寺君」
上気した頬に触れて、半開きになった口の端に親指を差し入れる。そのままつうっと薄い皮膚の上をなぞると、それだけで内部の締め付けが一段きつくなる。獄寺は動きを止め、眉をひそめて快楽の波が過ぎるのを待つ。そして、舌先でツナの指を押し返すと、逆に問い返した。
「10代目は、よくないんスか?」
平然を装って、けれどそのたった一言を言い返すために、彼がどれほどの躊躇を踏み越えたか。これだけ深くつながっていれば、ツナには筒抜けだった。
『10代目』の質問に、はいでもいいえでもなく質問で返すなんて。



|| STOP









言い訳反転>
一晩でどこまで書けるかな大会で、書き終わらなかったヤツです。
大人は、背景考えて手が止まるとなかなか書けないです。
続きは頭にあるんだけど、どこまで説明したもんだか悩んでしまう。
PR
UP△ * HOME * ▽DOWN
Copyright:SCRaPBooK All Rights Reserved.*Powered by NinjaBlog
Graphics By RHETORIC*material by 工房たま素材館*Template Original by Kaie *Arranged by あかさ・たな
忍者ブログ [PR]