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いい加減、ビアンキも理解してくれたらいいと思う。
「ハヤト! どうしたの!?」
「ふげゃっ!」
抱き上げられた獄寺君は、姉の顔を見るなりまたへんな悲鳴をあげてぐでんと転がってしまった。
「ハヤト! しっかりなさい!」
いや、だから原因はビアンキなんだってば。どうして理解してくれないんだろう。
二人を引き離して、獄寺君はソファに、ビアンキはダイニングに。そのまま台所行って濡れタオル作って獄寺君のところに引き返しておでこにタオル。
「ひゅみまふぇん10代目、ごメーワクを、れも次こそは、」
「あー、うん。また今度ね、次こそはね、でも今はまだろれつ回ってないから大人しく寝てようね」
「ひゃい」
安静第一を釘刺して、やれやれってダイニングに戻ったら原因の狙撃犯ビアンキはリボーンと二人で優雅にお茶していた。当然オレの分のカップなんて出てこない。オレはなんにもない席に座って頬杖をつく。
(つか、あれ? コーヒー?
ビアンキがいれられる訳無いじゃん。
じゃ、リボーンがいれたのか。ビアンキの分も。
うわ、こいつ、ほんっと女には甘いな。
ってか、なのになんで後始末してきたオレには何にもナシ!?)
じとっと黒い帽子を睨んだら、リボーンは突如顔を上げた。黒いつぶらな瞳が二つ。
(ひぃっ!いや、リボーン様のなさることに文句なんかありませんけど!!けど……けどやっぱでも、むー……)
「……ビアンキもさ、獄寺君が倒れるのわかってるんだから、突然素顔で現れるの、やめたほうがいいと思うんだけど……」

「ツナ、」
ビアンキはゆっくりとカップを置きオレを見る。
「年上の異性の気を引くためとしても、そのやり方は幼稚過ぎるわ。」
「ちがーうっっ!」
ほんとどうしてそーなるんだ!
「ぜんっぜんチガウってか何その無駄な自信! なんでオレがビアンキに!?」
「まあ、照れちゃって」
「照れてなーいっ!」
「でもごめんなさいね、私にはリボーンしか見えないの」
「だそーだ。悪いな、ツナ。モテるオトコはツライゼ」
「赤ん坊のお前に言われたくない! ってか何ちゃっかり交じってアピールしてんの? 自慢かよ!?」
「まあ、冗談はともかく、」
「冗談だったのかよ!」
「私は顔を隠すつもりなんてないわ」

「……なんで?」

長い爪がカップを弾いた。

「なんで?」

ビアンキが繰り返した。

「次も失敗するなんて、どうしてあなたに言い切れるの?」


ああ、どうしようもない姉弟に、オレは捕まってしまった。
毎日毎日次こそはを繰り返して、
いつかくる「その日」を信じてみつめてる。

「あらリボーン、カップが空ね。おかわりはいかが? 今度は私が入れるわ。」
「悪ィな。でも、気持ちだけで十分だぞ。入れるんだったら、看病して帰って来たツナに入れてやってくれ。」
「そうね、じゃあ、隼人の分のお礼も込めて……」
「いっ! いらないよー!!」
「まあ、失礼ね。これでも日々研究を重ねて……」
「それで、味じゃなくて殺傷度が上がってるんだろー!!」

オレには「その日」は全然見えないけど、
多分明日も、「その日」じゃない明日がくるんだろう、けど。
明日も明日もそのまた明日もずーっと明日ばっかり続きそうだから、
じゃあやっぱりそのうち、明日の中にその日がひょっこり顔をだすのかもしれない。

「私のコーヒーがのめないの!?」
「あ、ああオレ! 獄寺君のタオル代えてくるっ!」
「待ちなさい、ツナ!」
「ちょ、着いてくるなってー!」

………でもやっぱ、明日も来ないよなぁ。











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