08在庫整理第四弾。
完成済み。
>PLAY
研ぎ澄まされた刃の上を、蝸牛が這う。
触れれば切れるような刃なのに、
蝸牛は臆することもなくのうのうと、のろのろと歩む。
這った跡が濡れた様にぬらぬらと光る。
柔らかな舌先でさえ、触れれば切り裂く刃なのに。
来客が襖を開けた。春の通り雨のような、音もなく近付いてくる気配で誰だかわかっていたので、顔を上げる必要もない。
また君か、と言ったら、またオレだよ、と、妙に拗ねたような声でかえってきた。
珍しい。
「オレだってたまにはツナの護衛したいのにさー、獄寺の奴ぜってーゆずんねーの。またオレが日本行き。」
傍らに刀を置いて、膝を立てる。腰を下ろす。その所作だけは板についている。その所作以外はまるでなっていない。
だらしなく胡座を掻くと、こともあろうか勝手に脇息をとりあげて__僕の側にあったものだ。それを文机越しに持ち上げて__自分の胸の前に置くとそれにだらりと身体を預けた。
「昔はすぐムキになったから勝ち目あったけど、最近妙に余裕なんだよなあ。オレ、獄寺みたく頭よくねーもん。真っ当に口論じゃ敵わねーし」
あーあ、本当にオレ、ツナの顔見て帰ってきただけだなぁ。
そっぽを向いて似合わないため息を一つ吐いて、男は話を終わりにする。顔をこちらに向ける。
「そんな訳でヒバリ。マカオのなんとかって言うのがやられたって。やったのがどこかと、そこの持ってたリングとボックスの行方しらね?」
「霧だったから、あげないよ。」
「あ、やっぱり。後始末は? ヒバリのことだからしっかりやってるんだろーけど。」
「さあ。細かいことは忘れたな。哲に聞いてよ。」
「ヒバリが忘れてることは草壁サンも忘れてるよ。」
眉根を寄せる。
「参ったな、どこから調べよう。つか、ヒバリひどくねえ? どーせオレが来るってわかってんだからもっとわかりやすく隠蔽してくれても……。どのみち、オレも報告するときにキッツイところは書き換えるんだし。」
それから、乾いた笑い声を漏らした。
「ダメだな。すっかり慣れちまってる。そりゃ、ツナの右腕はもう無理だよなぁ」
知らない奴が死んでも、やっぱ知らない奴だしな。
山本は、今度こそ脇息に顔を埋めて、あーあと呟いた。
「沢田綱吉の何処がそんなにいいんだか。」
一瞬遅れて、目線だけ上に上げる。
「君に、あの赤ん坊に、なんでみんなあの男の周りに集まるのかな。この世の謎の一つだね。」
山本が顔を上げる。行儀悪くヒトの顔を指差す。
「ヒバリだって、集まってるうちの一人だろ。」
「つまらない冗談だね。」
僕は動いてなどいない。君が勝手に行ったり来たりして繋いでいるだけだ。
「へーへー。ヒバリ様の仰る通り。そーゆーことにしときやしょう。」
おどけて言うと、男は脇息から体を起こした。
もう行くのか、忙しない奴だ。
と、思ったらまたぺたりと身体を伏せて、下から僕の顔を覗き込んだ。
「なあ、」
「何? 話が済んだならさっさと行けば?」
男は聞く耳を持たない。
「なあ、さっきのあれ、もしかしてヒバリ拗ねてた?」
「……何の話?」
「最初の話。沢田綱吉のどこがいいんだかって、あれ。」
ああ、蝸牛のような男だ。
今更理解するなよ、莫迦。
笑うな。そのニヤケ面を仕舞え。
|| STOP
言い訳反転>
ヒバリに「どこがいいんだか」って言わせたかっただけ。
他の原稿が頭塞いでたので完成させるの忘れてた。
あはは。
完成済み。
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研ぎ澄まされた刃の上を、蝸牛が這う。
触れれば切れるような刃なのに、
蝸牛は臆することもなくのうのうと、のろのろと歩む。
這った跡が濡れた様にぬらぬらと光る。
柔らかな舌先でさえ、触れれば切り裂く刃なのに。
来客が襖を開けた。春の通り雨のような、音もなく近付いてくる気配で誰だかわかっていたので、顔を上げる必要もない。
また君か、と言ったら、またオレだよ、と、妙に拗ねたような声でかえってきた。
珍しい。
「オレだってたまにはツナの護衛したいのにさー、獄寺の奴ぜってーゆずんねーの。またオレが日本行き。」
傍らに刀を置いて、膝を立てる。腰を下ろす。その所作だけは板についている。その所作以外はまるでなっていない。
だらしなく胡座を掻くと、こともあろうか勝手に脇息をとりあげて__僕の側にあったものだ。それを文机越しに持ち上げて__自分の胸の前に置くとそれにだらりと身体を預けた。
「昔はすぐムキになったから勝ち目あったけど、最近妙に余裕なんだよなあ。オレ、獄寺みたく頭よくねーもん。真っ当に口論じゃ敵わねーし」
あーあ、本当にオレ、ツナの顔見て帰ってきただけだなぁ。
そっぽを向いて似合わないため息を一つ吐いて、男は話を終わりにする。顔をこちらに向ける。
「そんな訳でヒバリ。マカオのなんとかって言うのがやられたって。やったのがどこかと、そこの持ってたリングとボックスの行方しらね?」
「霧だったから、あげないよ。」
「あ、やっぱり。後始末は? ヒバリのことだからしっかりやってるんだろーけど。」
「さあ。細かいことは忘れたな。哲に聞いてよ。」
「ヒバリが忘れてることは草壁サンも忘れてるよ。」
眉根を寄せる。
「参ったな、どこから調べよう。つか、ヒバリひどくねえ? どーせオレが来るってわかってんだからもっとわかりやすく隠蔽してくれても……。どのみち、オレも報告するときにキッツイところは書き換えるんだし。」
それから、乾いた笑い声を漏らした。
「ダメだな。すっかり慣れちまってる。そりゃ、ツナの右腕はもう無理だよなぁ」
知らない奴が死んでも、やっぱ知らない奴だしな。
山本は、今度こそ脇息に顔を埋めて、あーあと呟いた。
「沢田綱吉の何処がそんなにいいんだか。」
一瞬遅れて、目線だけ上に上げる。
「君に、あの赤ん坊に、なんでみんなあの男の周りに集まるのかな。この世の謎の一つだね。」
山本が顔を上げる。行儀悪くヒトの顔を指差す。
「ヒバリだって、集まってるうちの一人だろ。」
「つまらない冗談だね。」
僕は動いてなどいない。君が勝手に行ったり来たりして繋いでいるだけだ。
「へーへー。ヒバリ様の仰る通り。そーゆーことにしときやしょう。」
おどけて言うと、男は脇息から体を起こした。
もう行くのか、忙しない奴だ。
と、思ったらまたぺたりと身体を伏せて、下から僕の顔を覗き込んだ。
「なあ、」
「何? 話が済んだならさっさと行けば?」
男は聞く耳を持たない。
「なあ、さっきのあれ、もしかしてヒバリ拗ねてた?」
「……何の話?」
「最初の話。沢田綱吉のどこがいいんだかって、あれ。」
ああ、蝸牛のような男だ。
今更理解するなよ、莫迦。
笑うな。そのニヤケ面を仕舞え。
|| STOP
言い訳反転>
ヒバリに「どこがいいんだか」って言わせたかっただけ。
他の原稿が頭塞いでたので完成させるの忘れてた。
あはは。
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