ツナと獄寺と…
獄寺君はオレのこと好きなんだと思う。
オレは獄寺君のことを好きなんだと思う。
だとおもうって推測をいくつも積み重ねて、
でもだってそうでもしなきゃ、
答えが出ないだろ、この関係。
足場固めなきゃ次に進めないだろ。
どうしたいのとか、どうするといいんだろうとか、
本当は何がしたいんだろうとか
なんにもわかんないだろ。
本当はどうしたいって、なんでこんなことしてるんだろって、
どうして、
これが正しいと思えないんだろう。
(そりゃマフィアのボスやって男と抱き合ってりゃ
正しいと思えない方がマトモか?)
思えないんだよ。
君のこと抱きたいと思うし、今やってることが悪いことだとももう思えないし、
(少なくともマフィアのボスに関しては
オレ以外の誰かにこの座を譲ったら世界が終わるな。)
(ああ、同じ理屈で、
獄寺君をほかの誰かにやることなんか考えたら、
オレは壊れるかも。)
(うんそう。)
(獄寺君じゃなくて、オレが壊れるね。)
(うん。おかしいよね。)
だから、オレは獄寺君のこと好きなんだって考えた方が楽でしょう
なんで仕事と恋を同列に語るのかと彼が問うので。
オレは獄寺君のことを好きなんだと思う。
だとおもうって推測をいくつも積み重ねて、
でもだってそうでもしなきゃ、
答えが出ないだろ、この関係。
足場固めなきゃ次に進めないだろ。
どうしたいのとか、どうするといいんだろうとか、
本当は何がしたいんだろうとか
なんにもわかんないだろ。
本当はどうしたいって、なんでこんなことしてるんだろって、
どうして、
これが正しいと思えないんだろう。
(そりゃマフィアのボスやって男と抱き合ってりゃ
正しいと思えない方がマトモか?)
思えないんだよ。
君のこと抱きたいと思うし、今やってることが悪いことだとももう思えないし、
(少なくともマフィアのボスに関しては
オレ以外の誰かにこの座を譲ったら世界が終わるな。)
(ああ、同じ理屈で、
獄寺君をほかの誰かにやることなんか考えたら、
オレは壊れるかも。)
(うんそう。)
(獄寺君じゃなくて、オレが壊れるね。)
(うん。おかしいよね。)
だから、オレは獄寺君のこと好きなんだって考えた方が楽でしょう
なんで仕事と恋を同列に語るのかと彼が問うので。
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一時期拍手に突っ込んでおいたもの。
(クリックで捲れていくスクリプト作るのが面倒だったので。)
突然クリック劇場。
昨日、用があって獄寺君が家まで行ったら、
シャマルはまた女の人を口説いてたそうです。
「最っ低です! なんであんな奴頼ろうとしたんだか……」
その言い方じゃ、
まるで獄寺君は
シャマルのところに行った自分に
腹を立てている様にも聞こえる。
聞こえるけど、
獄寺君はそんなことちっとも考えてないんだろうなあ。
獄寺君から聞くシャマルの話は、
いつも片方だけすっぽり抜け落ちてて、
そう、
獄寺君は悪くなくて、
いっつも悪いのはシャマルだということになっている。
「獄寺君て、そこだけは真似しないんだね。」
何のことですか、と、獄寺君は一度瞬きした。
「獄寺君も、女の子大好きってなれば? シャマルみたいに。」
「な!」
「冗談キツイっスよ、10代目。なんでよりによってアイツの唯一の欠点を、」
「『唯一の』?」
う、あ、あ、って、
獄寺君の口唇がふるえる。
「いっ、今のは! 言葉のアヤです!!」
真っ赤になって反論するので、
ああ本当に獄寺君はシャマルが好きなんだなぁと思う。
獄寺君はシャマルが好きなんだなぁ…………。
そっか、うん。
知ってたけどさ。
知ってるけど。
「……ちなみに獄寺君。獄寺君から見て、オレの欠点は?」
獄寺君はまじまじとオレを見つめた。
ぐああ、と頬が赤くなる。
ぎゅうと右手を握りしめる。
「恐れ多いですが10代目!」
「強いてあげるとすれば欠点のないところが10代目の欠点です!!」
…………ああ、そう。
まあそう答えるだろうなあって、
知ってたけどね。
(獄寺君は結構勝手で、)
(良いか悪いかしかなくて、)
(オレのこと嫌いじゃないからそう言うんだろうけど、)
……わかってんだけどさ。
おしまい。。。
そしてまた今日も、
シャマルは女の人を口説いてたそうです。
「本当に最っ低です! なんであんな奴頼ろうとしたんだか……」
その言い方じゃ、
まるで獄寺君は
シャマルのところに行った自分に
腹を立てている様にも聞こえる。
聞こえるけど、
獄寺君はそんなことちっとも考えてないんだろうなあ。
獄寺君から聞くシャマルの話は、
やっぱりいっつも片方だけ抜け落ちてて、
そう、
獄寺君は悪くなくて、
いっつも悪いのはシャマルだということになっている。
「獄寺君て、そこだけは真似しないんだね。」
何のことですか、と、獄寺君は一度瞬きした。
「獄寺君も、女の子大好きってなれば? シャマルみたいに。」
「な!」
「冗談キツイっスよ、10代目。なんでよりによってアイツの唯一の欠点を、」
「『唯一の』?」
う、あ、あ、って、
獄寺君の口唇がふるえる。
「いっ、今のは! 言葉のアヤです!!」
真っ赤になって反論するので、
ああ本当に獄寺君はシャマルが好きなんだなぁと思う。
獄寺君はシャマルが好きなんだなぁ…………。
そっか、うん。
知ってたけどさ。
知ってるけど。
「……ちなみに獄寺君。獄寺君から見て、オレの欠点は?」
獄寺君はまじまじとオレを見つめた。
ぐああ、と頬が赤くなる。
ぎゅうと右手を握りしめる。
「恐れ多いですが10代目!」
「目に映るものすべて恋に落ちるその瞳が!」
「ちょぉっと待てェ!!!!」
ホスト部の環先輩が好きです。
お付き合い頂きありがとうございました。へこり。
(クリックで捲れていくスクリプト作るのが面倒だったので。)
突然クリック劇場。
昨日、用があって獄寺君が家まで行ったら、
シャマルはまた女の人を口説いてたそうです。
「最っ低です! なんであんな奴頼ろうとしたんだか……」
その言い方じゃ、
まるで獄寺君は
シャマルのところに行った自分に
腹を立てている様にも聞こえる。
聞こえるけど、
獄寺君はそんなことちっとも考えてないんだろうなあ。
獄寺君から聞くシャマルの話は、
いつも片方だけすっぽり抜け落ちてて、
そう、
獄寺君は悪くなくて、
いっつも悪いのはシャマルだということになっている。
「獄寺君て、そこだけは真似しないんだね。」
何のことですか、と、獄寺君は一度瞬きした。
「獄寺君も、女の子大好きってなれば? シャマルみたいに。」
「な!」
「冗談キツイっスよ、10代目。なんでよりによってアイツの唯一の欠点を、」
「『唯一の』?」
う、あ、あ、って、
獄寺君の口唇がふるえる。
「いっ、今のは! 言葉のアヤです!!」
真っ赤になって反論するので、
ああ本当に獄寺君はシャマルが好きなんだなぁと思う。
獄寺君はシャマルが好きなんだなぁ…………。
そっか、うん。
知ってたけどさ。
知ってるけど。
「……ちなみに獄寺君。獄寺君から見て、オレの欠点は?」
獄寺君はまじまじとオレを見つめた。
ぐああ、と頬が赤くなる。
ぎゅうと右手を握りしめる。
「恐れ多いですが10代目!」
「強いてあげるとすれば欠点のないところが10代目の欠点です!!」
…………ああ、そう。
まあそう答えるだろうなあって、
知ってたけどね。
(獄寺君は結構勝手で、)
(良いか悪いかしかなくて、)
(オレのこと嫌いじゃないからそう言うんだろうけど、)
……わかってんだけどさ。
おしまい。。。
そしてまた今日も、
シャマルは女の人を口説いてたそうです。
「本当に最っ低です! なんであんな奴頼ろうとしたんだか……」
その言い方じゃ、
まるで獄寺君は
シャマルのところに行った自分に
腹を立てている様にも聞こえる。
聞こえるけど、
獄寺君はそんなことちっとも考えてないんだろうなあ。
獄寺君から聞くシャマルの話は、
やっぱりいっつも片方だけ抜け落ちてて、
そう、
獄寺君は悪くなくて、
いっつも悪いのはシャマルだということになっている。
「獄寺君て、そこだけは真似しないんだね。」
何のことですか、と、獄寺君は一度瞬きした。
「獄寺君も、女の子大好きってなれば? シャマルみたいに。」
「な!」
「冗談キツイっスよ、10代目。なんでよりによってアイツの唯一の欠点を、」
「『唯一の』?」
う、あ、あ、って、
獄寺君の口唇がふるえる。
「いっ、今のは! 言葉のアヤです!!」
真っ赤になって反論するので、
ああ本当に獄寺君はシャマルが好きなんだなぁと思う。
獄寺君はシャマルが好きなんだなぁ…………。
そっか、うん。
知ってたけどさ。
知ってるけど。
「……ちなみに獄寺君。獄寺君から見て、オレの欠点は?」
獄寺君はまじまじとオレを見つめた。
ぐああ、と頬が赤くなる。
ぎゅうと右手を握りしめる。
「恐れ多いですが10代目!」
「目に映るものすべて恋に落ちるその瞳が!」
「ちょぉっと待てェ!!!!」
ホスト部の環先輩が好きです。
お付き合い頂きありがとうございました。へこり。
獄寺君は、火の匂いでできている。
煙草の匂いと火薬の匂いだ。
オレが教室でぼーっとしていると、
満面の笑み、ってやつを顔にはりつけて、
彼はやってくる。
似合わない、と、思うんだ。
だって、『ごくでらくん』は『獄寺隼人』で
オレは『沢田』か『ツナ』か……でなけりゃ『ダメツナ』なんだ。
……て、何言ってるかわかんないよな。
ええと
『分不相応』なんだ、オレには。
たちの悪い冗談みたいだ。
へんだよ、やっぱこれ。
ムリがあるって。
オレの机に手をついて、
身を乗り出して
じゅーだいめ、じゅーだいめって言う、
彼は、このひとは、その光景は、
絶対ムリがあるってば。
みんなには、どー見えてると思ってんだろ。
オレは、直視できない。
真っすぐ見ることが出来なくて
頬杖をついて、
話を半分聞いているふりして
ヒヤヒヤしてる。
たのむから、
たーすーけーてー。
ふわん、と、胸の辺りから
煙のニオイがする。
制服に絡み付いて
きっともう
取れなくなってしまったんだろう。
煙草のニオイは吐息じゃなくて
身体に住み着くものなんだな。
(青少年の学ぶべきことじゃない)
(頼む、やっぱこっちこないで)
(これ以上ヘンなこと教えないで)
ふわんふわんふわん。
目を反らしても
顔のすぐ隣にあるそれは、
洗いざらした白いシャツは
火の匂いなので
逃げようもなくて、
オレは顔が熱くなる。
ああ、引火する。
煙草の匂いと火薬の匂いだ。
オレが教室でぼーっとしていると、
満面の笑み、ってやつを顔にはりつけて、
彼はやってくる。
似合わない、と、思うんだ。
だって、『ごくでらくん』は『獄寺隼人』で
オレは『沢田』か『ツナ』か……でなけりゃ『ダメツナ』なんだ。
……て、何言ってるかわかんないよな。
ええと
『分不相応』なんだ、オレには。
たちの悪い冗談みたいだ。
へんだよ、やっぱこれ。
ムリがあるって。
オレの机に手をついて、
身を乗り出して
じゅーだいめ、じゅーだいめって言う、
彼は、このひとは、その光景は、
絶対ムリがあるってば。
みんなには、どー見えてると思ってんだろ。
オレは、直視できない。
真っすぐ見ることが出来なくて
頬杖をついて、
話を半分聞いているふりして
ヒヤヒヤしてる。
たのむから、
たーすーけーてー。
ふわん、と、胸の辺りから
煙のニオイがする。
制服に絡み付いて
きっともう
取れなくなってしまったんだろう。
煙草のニオイは吐息じゃなくて
身体に住み着くものなんだな。
(青少年の学ぶべきことじゃない)
(頼む、やっぱこっちこないで)
(これ以上ヘンなこと教えないで)
ふわんふわんふわん。
目を反らしても
顔のすぐ隣にあるそれは、
洗いざらした白いシャツは
火の匂いなので
逃げようもなくて、
オレは顔が熱くなる。
ああ、引火する。
08在庫整理第九弾。
これでおしまいです。おつかれさまでした。
完成済み。
>PLAY
『好きなの?』
正面切って聞かれるとなあ、と、彼は頭を掻いた。
照れているのかもしれないし、本当に返事に困っているのかも、誤魔化しているのかもしれない。
ひどく曖昧だが、そのほんの少し細められた目からは彼の人の良さがにじみ出ていて、その曖昧さを好ましいものにしていた。
「あ、そうだ、あれだ。長風呂とかこたつとか朝寝坊とかさ、居心地良過ぎて、自分から寝てるのか、布団に出してもらえないのかわかんなくなっちゃう感じ。そんな感じ。」
『そんな感じって、それは「好き」って感情が? それともその人が?』
今度こそ彼は答えず、あの曖昧な笑みで微笑んでいた。
その日(も)、姉は勝手に上がり込んでソファを陣取ってテレビを見ていた。夕方の再放送の恋愛ドラマだ。んなもん、10代目のお宅で見てこい、と思うが、沢田家ではこの時間はチビどものアニメの時間なんだそうだ。
ともかく、姉がリビングの真ん中に居座って微動だにしないので、隼人は姉に背を向けて、床にあぐらをかいてキッチンを見ていた。理不尽だ、と思いながら。
「そういえば、隼人」
姉が言った。音から察するに、テレビはCMに入ったところだ。
「あなたもやっとわかってきたわね。」
「……何がだよ。」
「すべては愛だという事よ。」
またそれか。
「ただ、姉の意見としてはもうちょっとイイオトコを選んだ方がいいんじゃないかと思うのだけれど、」
…………ん?
「てめっ! それは10代目の……」
隼人は問い質そうとぎりりと身体を捻ったが、姉がこちらを見ていた事に気付き、慌てて正面に向き直る。
「思うけれど、趣味は人それぞれだから、あなたがそれでいいなら、私は口を出す気はないわ。」
『そこに愛があれば、それでいいのよ。』
姉は繰り返した。
「知るかよ。そんな下らねーもんと一緒にすんな。」
床に向かって彼は吐き捨てた。
『すきなの?』
繰り返される、くだらない問いかけだと思う。
『すき』なの?
そんなの、名前なんか知るかよ。
ここに、確かに、消えない衝動がある。
その存在だけでで十分だろ。
|| STOP
言い訳反転>
あまりにもポエムなのでしまってました。
はずかしい。
これでおしまいです。おつかれさまでした。
完成済み。
>PLAY
『好きなの?』
正面切って聞かれるとなあ、と、彼は頭を掻いた。
照れているのかもしれないし、本当に返事に困っているのかも、誤魔化しているのかもしれない。
ひどく曖昧だが、そのほんの少し細められた目からは彼の人の良さがにじみ出ていて、その曖昧さを好ましいものにしていた。
「あ、そうだ、あれだ。長風呂とかこたつとか朝寝坊とかさ、居心地良過ぎて、自分から寝てるのか、布団に出してもらえないのかわかんなくなっちゃう感じ。そんな感じ。」
『そんな感じって、それは「好き」って感情が? それともその人が?』
今度こそ彼は答えず、あの曖昧な笑みで微笑んでいた。
その日(も)、姉は勝手に上がり込んでソファを陣取ってテレビを見ていた。夕方の再放送の恋愛ドラマだ。んなもん、10代目のお宅で見てこい、と思うが、沢田家ではこの時間はチビどものアニメの時間なんだそうだ。
ともかく、姉がリビングの真ん中に居座って微動だにしないので、隼人は姉に背を向けて、床にあぐらをかいてキッチンを見ていた。理不尽だ、と思いながら。
「そういえば、隼人」
姉が言った。音から察するに、テレビはCMに入ったところだ。
「あなたもやっとわかってきたわね。」
「……何がだよ。」
「すべては愛だという事よ。」
またそれか。
「ただ、姉の意見としてはもうちょっとイイオトコを選んだ方がいいんじゃないかと思うのだけれど、」
…………ん?
「てめっ! それは10代目の……」
隼人は問い質そうとぎりりと身体を捻ったが、姉がこちらを見ていた事に気付き、慌てて正面に向き直る。
「思うけれど、趣味は人それぞれだから、あなたがそれでいいなら、私は口を出す気はないわ。」
『そこに愛があれば、それでいいのよ。』
姉は繰り返した。
「知るかよ。そんな下らねーもんと一緒にすんな。」
床に向かって彼は吐き捨てた。
『すきなの?』
繰り返される、くだらない問いかけだと思う。
『すき』なの?
そんなの、名前なんか知るかよ。
ここに、確かに、消えない衝動がある。
その存在だけでで十分だろ。
|| STOP
言い訳反転>
あまりにもポエムなのでしまってました。
はずかしい。
08在庫整理第七弾。
未完成。
これは先に言いわけ。
短いののトップ・シークレットのボツverです。
>PLAY
獄寺隼人は時々嫌な夢を見る。
それは、幼い頃から繰り返し見る夢。「嫌な夢」なんて概念を得る前から繰り返し彼を苛んでいた。
もともと、獄寺は明晰な夢を見る方ではない。ベッドに潜ってしばらくするとぶつりと意識が途切れて、再び気が付いたときには朝が来ているようなタイプだ。夢なんて見ない。夜とはただの暗闇。だが、ほんのときどき、その暗闇に荒涼とした寒い風が吹き込むことがある。
それはまるで水のような冷気だ。ひやりと肌に張り付いて、剥がそうとしても離れない。走って逃げても振り払えない。背後から、暖かな毛布の様に彼を包み込んで、肌を冷やす。冷たいシーツで彼をくるんで、どこかに連れ去ろうとする。
いやだ、このままでは捕まってしまう。連れて行かれる。いやだ。
そう思って、必死で逃げるのだけれど、やがて足が凍えて、縺れて転ぶ。頬が地面にぶつかって、痛いと思う前に冷たいと感じる。
冷たい。ぴしゃんと水の音がして、真っ暗な地面が水になり彼の身体を包み込む。
捕まってしまった。
彼は観念して、冷たい水の中で身体を硬くする。細い白い腕で__その夢では、彼はいつも気が付くと子供の姿になっている__腕で、自分の身体を抱いて、ぎゅっと目をつぶる。息を止める。
この胸の中までは『冷たい』に取り上げられません様に。
お祈りをして、すべてのチャンネルを閉じる。すると__
目が覚める。
跳ね起きて、咄嗟に肌に触れているものを振り払う。肺の奥で淀んでいた空気を吐き出す。すると、それはひどく生温かった。
それでやっと、またあの夢かと気付く。
心臓は狂ったような速さで脈を刻み、全身にはうっすら汗をかいていた。
また、あの夢だ。そうだちょうどアレが出てきそうなタイミングだった。
「__ああ、クソったれ。」
毒づいて、獄寺はベッドを一度蹴り付ける。
この夢は、決まって彼が安心している頃に訪れる。不安定な時や、苛ついている時は決して姿を見せない。
10代目は、ご存じないのだ。
オレが、この指にこの指輪を嵌めたのが、初めてじゃないことを。
|| STOP
言い訳反転>
というわけで、あれの別verです。
なにもわざわざ獄寺さんをかわいそうにしなくてもいいじゃんという訳で没にしました。
なんかまだ削除してなかったので、折角だから。
未完成。
これは先に言いわけ。
短いののトップ・シークレットのボツverです。
>PLAY
獄寺隼人は時々嫌な夢を見る。
それは、幼い頃から繰り返し見る夢。「嫌な夢」なんて概念を得る前から繰り返し彼を苛んでいた。
もともと、獄寺は明晰な夢を見る方ではない。ベッドに潜ってしばらくするとぶつりと意識が途切れて、再び気が付いたときには朝が来ているようなタイプだ。夢なんて見ない。夜とはただの暗闇。だが、ほんのときどき、その暗闇に荒涼とした寒い風が吹き込むことがある。
それはまるで水のような冷気だ。ひやりと肌に張り付いて、剥がそうとしても離れない。走って逃げても振り払えない。背後から、暖かな毛布の様に彼を包み込んで、肌を冷やす。冷たいシーツで彼をくるんで、どこかに連れ去ろうとする。
いやだ、このままでは捕まってしまう。連れて行かれる。いやだ。
そう思って、必死で逃げるのだけれど、やがて足が凍えて、縺れて転ぶ。頬が地面にぶつかって、痛いと思う前に冷たいと感じる。
冷たい。ぴしゃんと水の音がして、真っ暗な地面が水になり彼の身体を包み込む。
捕まってしまった。
彼は観念して、冷たい水の中で身体を硬くする。細い白い腕で__その夢では、彼はいつも気が付くと子供の姿になっている__腕で、自分の身体を抱いて、ぎゅっと目をつぶる。息を止める。
この胸の中までは『冷たい』に取り上げられません様に。
お祈りをして、すべてのチャンネルを閉じる。すると__
目が覚める。
跳ね起きて、咄嗟に肌に触れているものを振り払う。肺の奥で淀んでいた空気を吐き出す。すると、それはひどく生温かった。
それでやっと、またあの夢かと気付く。
心臓は狂ったような速さで脈を刻み、全身にはうっすら汗をかいていた。
また、あの夢だ。そうだちょうどアレが出てきそうなタイミングだった。
「__ああ、クソったれ。」
毒づいて、獄寺はベッドを一度蹴り付ける。
この夢は、決まって彼が安心している頃に訪れる。不安定な時や、苛ついている時は決して姿を見せない。
10代目は、ご存じないのだ。
オレが、この指にこの指輪を嵌めたのが、初めてじゃないことを。
|| STOP
言い訳反転>
というわけで、あれの別verです。
なにもわざわざ獄寺さんをかわいそうにしなくてもいいじゃんという訳で没にしました。
なんかまだ削除してなかったので、折角だから。