山本と雲雀と…
08在庫整理第八弾。
完成しているけど自己没。
>PLAY
ケータイの音で飛び起きた。
雲雀だと思ったんだ。
連日の雨でここんとこグランドコンディションは最悪。
朝練はずっと中止状態、
放課後の手合わせもなし、
そんでついに、ロードワークも、今日はやる気なし。
だって雨なんだ。
だから起きる気がしなくて、目覚まし時計を無視し続けている。
5分おきに鳴るピーってアラームを布団の中から叩いて止めて、
(布団から出てメインスイッチ切るのも面倒くさい。)
オレはずるずるずるずる。
もう、6時45分だって。
考えられないような怠けっぷり。
なんだっけ? 一日の遅れを取り戻すのに、三日? かかるのに、なー……。
もっぺん枕に首を突っ込んだら、今度は、
後頭部にドリルで穴開ける気なんじゃねーのってくらい
容赦なく突き刺さる携帯電話の呼び出し音がした。
(え、コレ、もしかして、)
買ったばっかで使い方わかんなくって、
だから獄寺に「ともかくすぐ気がつきそうな音」って頼んだら、
本当にアタマが割れるようなスゴイ音を設定してくれた。
目覚ましからメールから、着信まで全部一緒。
だから。
「ヒバリッ!?」
寝ぼけたオレは布団を飛び出してバイブで暴れてるケータイを引っ掴んで、
『アラーム』
の文字に思いっきり凹んだ。
ケータイをデコに当てて座り込んでうなだれて、
ネクストサークルで祈ってる打者みたいだ。
オレに打順がつながりますように。
でももう残りワンナウトでツーストライクで、
オレの出番はほとんど絶望的。
それで神頼み状態。
一発逆転、フォアでもデッドでもいいから繋がりますようにって、
まさに神頼み状態。
そりゃ、勘違いして布団も飛び出すよ。
ああ、オレ本当バカだなあ。
どこをどーやったら、
朝7時ジャストに雲雀に呼び出されるなんて思うんだろう。
いや、そもそも、雲雀ってオレ番号知ってんのかな?
勝手に呼び出された事はあるけど、毎回番号違うし、
オレが教えられた連絡先は、なんと草壁さんに通じてたし。
(連絡用だからそれで十分でしょって、そりゃ、そーなんだけどさあ……)
あーあ、最悪。
……サイアク、の、30歩ぐらい手前。
(うん。まだそこまでひどくない。)
ともかく、
おかげですっかり目が覚めてしまったので、
今日も雨で朝練はないので、
ランニングに行く時間ももう残っていないので、
制服に着替えて朝飯喰ったらツナの家に行くことにした。
きっと獄寺はもう来てる。
ケータイの設定を変えて貰おう。
こんな目の覚め方は、
(だって、絶対ヒバリだと思ったんだ。)
こんな目覚め方は、あんまり、うれしくない。
(ヒバリだと思ったんだよなぁ……。)
「あー? てめ、朝っぱらからシケたツラしてんじゃねーよ。」
ぽつんぽつんと雨粒が落ちる透明なビニール傘の下で、
獄寺の朝の挨拶はそれだった。
さっきまでまだ開かない玄関を見てニコニコしていたくせに、
オレを見る肩越しの視線はもう睨んでる。
「はよ、獄寺。ナニ? オレ調子悪そう? 心配してくれんの?」
「すっかよ、バーカ!!」
まーまー。となだめてそれから
「なあ、ケータイの着信音、一人分だけ変えたいんだけど、どーやんの?」
聞いたら、
「まずあどれすちょうをぐるーぷでわけてふぉるだでしていして……」
訳が分からなかったので、やっぱりまたオレのケータイは獄寺の手に託された。
「つか、お前のケータイ、重くねぇ? いつの機種だよ。」
「さー? 安いのから選んだから。」
ったく。
文句言いながら獄寺は親指でポチポチと、
持ち主のオレですら見た事ない画面を開いていく。
「で、誰のをどんなにしたいんだよ。」
「えーっと……」
部員は着信あったときに名前見ればわかる。
ツナも獄寺もわかる。
んで、だれも早朝とか深夜とかそんな非常識な時間には掛けてこない。
放課後だけだ。
だから寝ぼけて勘違いもしない。
だから、
「……ヒバリ、からのが、目覚ましと違えば。」
獄寺は眉をひそめる。
「お前、アイツのアドレス知ってんの?」
オレは首を横に振る。
「勝手にかかってくんのな。
毎回番号違うし、あと、非通知、だっけ? それだったり。」
獄寺は、いつもの馬鹿にしたとかあきれたとかそう言うのではなく、
もういっそ哀れな生き物を見る目で、
(そうだ確か英語で、 I が私なら、僕やオレって何って聞いた時、
こんな顔してた)
そんな目でオレを見てため息吐いて、
「ムリ。」
と、オレの胸にケータイを押し返した。
「できっかもしんねぇけど、面倒くせぇ。自分で調べやがれ。」
「えー。だって獄寺、これ、このまんまじゃ心臓に悪ィよ。」
「うーるーせ。てめーなんざ、えーえんに着信待ってどきどきしてやがれ。」
『うっわ、山本クン、少女マンガみてー。きもちわりー。』
獄寺はそう言おうとして、ちょうどその途中で、
がちゃりと玄関の開く音がした。
ぐるんと獄寺が身体をねじる。回れ、右。背筋を伸ばして直立不動。
「おはようございます!! 10代目、の……、」
勢いよく飛び出した言葉は、フォークボールより見事に途中で落ちた。
玄関から現れたのは、
「……の、お母様……」
だったのだ。
「……っ、と、あの、おはよう、ございます……」
同一人物とは思えない気の抜けた声で獄寺は繰り返す。
「おはよう、獄寺君。山本君。
いつも待たせちゃってごめんなさいね。
ツナもそろそろご飯食べ終わるはずだから」
「いっ、いえそんなぜんぜんっ!」
獄寺はがばっと顔を上げて、
ツナのおふくろさんの手に大きなゴミ袋があるのを見つけて、
「あ! ゴミ出しですか? オレ、手伝います!」
なんて言い出す。
「あら、ありがと。でも、これだけだから……」
「あ、じゃあ! オレ、傘を……! 」
「ありがとう、でも、獄寺君濡れちゃうでしょう?」
「いえっ! ぜんっぜん構いません!!」
必死な獄寺のやり取りを見ながら、
ああ、確かにこれは、とオレは思う。
獄寺はゴミ袋と玄関と、ちらちらちらちら忙しなく目線を移動させて、
ああ、獄寺はずーっと着信待ちだ。
永遠にドキドキしながら着信待ちだ。
たしかにこれは、きもちわりー、かもなあ。
獄寺が押し問答しているうちにまた玄関が開いて、
今度こそツナが出てきた。
で、タイミング悪く、
「おはよう」の声より先にドアが獄寺の背中に激突して、
獄寺は振り返って思いっきり犯人を睨みつける。
睨みつけて、犯人の正体を知って、顔が真っ青になって、
でも真っ青になったままニヤけだすから、すげぇ顔。
上擦ってひっくり返った声で叫ぶ。
「おっ、おはようございます!! 10代目!」
「お……おはよ、獄寺君。」
ああ、たしかにこれは、『きもちわりー』かなあ。
でも、『少女マンガ』みたいかなあ?
これを少女漫画と言うなら、
まさかコレ、『恋』とかゆうのかなあ、なんて、オレは思ったりする。
獄寺と違って女兄弟が居ないのでわからない。
ツナが傘を開く。
傘もう一つ分距離を開けて、獄寺が後に続く。
雨の通学路を歩き出す。
(あ、ゴミ袋持ってる。)
「おはよ、山本。」
「おっす。ツナ。あ、なぁツナ、昨日のアレ視た?」
「あー、うん。視た視た!」
オレは特には『どきどき』しないので、
着信を待つまでもなく向こうからかかってきたので、
オレはツナとちっとも気持ち悪くない男子中学生らしい朝の挨拶をしたら、
やっぱり獄寺はぎりぎりーっと睨んでいた。
「あの、獄寺君。」
「はいっ! なんですか10代目!」
「いや、えと。あの。ゴミ捨て場、過ぎちゃったよ?」
「あ、すみません! すぐ戻ります!」
ああ、獄寺はやっぱちょっと『きもちわりー』や。
で、オレとツナの会話はちっとも気持ち悪くないから、
オレはツナが好きだけど、これはきっと恋じゃない。
つまり
オレに『きもちわりー』なんて言うなんて、
じゃあ獄寺は時々『きもちわりー』なんて思ってるんだ。
今朝のオレは、どうだったのかなあ。
獄寺に聞いてみてみようかと思ったけど、
これは聞かない事にした。
あーあ。
オレも『きもちわりー』のかな?
とりあえず、着信音はどーにかしねーと。
だってこのままじゃ、獄寺の言う通り『えーえんにどきどき』してしまう。
それは困る。
ああでも、着信音変えるのめんどくさいな。
このままでもいいかな。
今日夜更かしして取説とにらめっこしながらそんな事するよりは、
早く寝て明日早起きする方が、
ぬかるんだグラウンドで自主トレする方が、
雨の中ロードワークする方が、
そっちのほうがいい気がする。
いや、それは、オレが野球が好きだからじゃなくて。
なくて……なんだろう。
今日は雨が降ってる。
三人とも傘を広げて歩いてる。
お互いちょっと遠いから、今日は黙って歩いている。
獄寺はきっと今、ツナからの着信待ちで
『えーえんにどきどき』している。
『えーえんにどきどき』してるから、
あの傘の下では『きもちわりー』の雨が降って獄寺を濡らしてる。
オレの傘の下は、何が降っているんだろう。
冷たい空気は嫌いじゃないから、
やっぱり今日は早く寝て、
明日は雨でも傘をささずにロードワークに行こうと思った。
二度寝してる布団の中じゃなくて、息を弾ませてランニング中なら、
きっと『えーえんにどきどき』なんかせずに着信を待っていられる。
|| STOP
言い訳反転>
初めて書いた中学生の山本の一人称の山ヒバ。
山本が、あまりにもフリーダムに勝手に喋り続けるのでとても困った。
さすが山本。
この山本語は注釈入れなきゃわからないだろ、書き直そう。
と思ったまま、手のつけ用がなくてお蔵入り。
ほんと、さすが山本。
完成しているけど自己没。
>PLAY
ケータイの音で飛び起きた。
雲雀だと思ったんだ。
連日の雨でここんとこグランドコンディションは最悪。
朝練はずっと中止状態、
放課後の手合わせもなし、
そんでついに、ロードワークも、今日はやる気なし。
だって雨なんだ。
だから起きる気がしなくて、目覚まし時計を無視し続けている。
5分おきに鳴るピーってアラームを布団の中から叩いて止めて、
(布団から出てメインスイッチ切るのも面倒くさい。)
オレはずるずるずるずる。
もう、6時45分だって。
考えられないような怠けっぷり。
なんだっけ? 一日の遅れを取り戻すのに、三日? かかるのに、なー……。
もっぺん枕に首を突っ込んだら、今度は、
後頭部にドリルで穴開ける気なんじゃねーのってくらい
容赦なく突き刺さる携帯電話の呼び出し音がした。
(え、コレ、もしかして、)
買ったばっかで使い方わかんなくって、
だから獄寺に「ともかくすぐ気がつきそうな音」って頼んだら、
本当にアタマが割れるようなスゴイ音を設定してくれた。
目覚ましからメールから、着信まで全部一緒。
だから。
「ヒバリッ!?」
寝ぼけたオレは布団を飛び出してバイブで暴れてるケータイを引っ掴んで、
『アラーム』
の文字に思いっきり凹んだ。
ケータイをデコに当てて座り込んでうなだれて、
ネクストサークルで祈ってる打者みたいだ。
オレに打順がつながりますように。
でももう残りワンナウトでツーストライクで、
オレの出番はほとんど絶望的。
それで神頼み状態。
一発逆転、フォアでもデッドでもいいから繋がりますようにって、
まさに神頼み状態。
そりゃ、勘違いして布団も飛び出すよ。
ああ、オレ本当バカだなあ。
どこをどーやったら、
朝7時ジャストに雲雀に呼び出されるなんて思うんだろう。
いや、そもそも、雲雀ってオレ番号知ってんのかな?
勝手に呼び出された事はあるけど、毎回番号違うし、
オレが教えられた連絡先は、なんと草壁さんに通じてたし。
(連絡用だからそれで十分でしょって、そりゃ、そーなんだけどさあ……)
あーあ、最悪。
……サイアク、の、30歩ぐらい手前。
(うん。まだそこまでひどくない。)
ともかく、
おかげですっかり目が覚めてしまったので、
今日も雨で朝練はないので、
ランニングに行く時間ももう残っていないので、
制服に着替えて朝飯喰ったらツナの家に行くことにした。
きっと獄寺はもう来てる。
ケータイの設定を変えて貰おう。
こんな目の覚め方は、
(だって、絶対ヒバリだと思ったんだ。)
こんな目覚め方は、あんまり、うれしくない。
(ヒバリだと思ったんだよなぁ……。)
「あー? てめ、朝っぱらからシケたツラしてんじゃねーよ。」
ぽつんぽつんと雨粒が落ちる透明なビニール傘の下で、
獄寺の朝の挨拶はそれだった。
さっきまでまだ開かない玄関を見てニコニコしていたくせに、
オレを見る肩越しの視線はもう睨んでる。
「はよ、獄寺。ナニ? オレ調子悪そう? 心配してくれんの?」
「すっかよ、バーカ!!」
まーまー。となだめてそれから
「なあ、ケータイの着信音、一人分だけ変えたいんだけど、どーやんの?」
聞いたら、
「まずあどれすちょうをぐるーぷでわけてふぉるだでしていして……」
訳が分からなかったので、やっぱりまたオレのケータイは獄寺の手に託された。
「つか、お前のケータイ、重くねぇ? いつの機種だよ。」
「さー? 安いのから選んだから。」
ったく。
文句言いながら獄寺は親指でポチポチと、
持ち主のオレですら見た事ない画面を開いていく。
「で、誰のをどんなにしたいんだよ。」
「えーっと……」
部員は着信あったときに名前見ればわかる。
ツナも獄寺もわかる。
んで、だれも早朝とか深夜とかそんな非常識な時間には掛けてこない。
放課後だけだ。
だから寝ぼけて勘違いもしない。
だから、
「……ヒバリ、からのが、目覚ましと違えば。」
獄寺は眉をひそめる。
「お前、アイツのアドレス知ってんの?」
オレは首を横に振る。
「勝手にかかってくんのな。
毎回番号違うし、あと、非通知、だっけ? それだったり。」
獄寺は、いつもの馬鹿にしたとかあきれたとかそう言うのではなく、
もういっそ哀れな生き物を見る目で、
(そうだ確か英語で、 I が私なら、僕やオレって何って聞いた時、
こんな顔してた)
そんな目でオレを見てため息吐いて、
「ムリ。」
と、オレの胸にケータイを押し返した。
「できっかもしんねぇけど、面倒くせぇ。自分で調べやがれ。」
「えー。だって獄寺、これ、このまんまじゃ心臓に悪ィよ。」
「うーるーせ。てめーなんざ、えーえんに着信待ってどきどきしてやがれ。」
『うっわ、山本クン、少女マンガみてー。きもちわりー。』
獄寺はそう言おうとして、ちょうどその途中で、
がちゃりと玄関の開く音がした。
ぐるんと獄寺が身体をねじる。回れ、右。背筋を伸ばして直立不動。
「おはようございます!! 10代目、の……、」
勢いよく飛び出した言葉は、フォークボールより見事に途中で落ちた。
玄関から現れたのは、
「……の、お母様……」
だったのだ。
「……っ、と、あの、おはよう、ございます……」
同一人物とは思えない気の抜けた声で獄寺は繰り返す。
「おはよう、獄寺君。山本君。
いつも待たせちゃってごめんなさいね。
ツナもそろそろご飯食べ終わるはずだから」
「いっ、いえそんなぜんぜんっ!」
獄寺はがばっと顔を上げて、
ツナのおふくろさんの手に大きなゴミ袋があるのを見つけて、
「あ! ゴミ出しですか? オレ、手伝います!」
なんて言い出す。
「あら、ありがと。でも、これだけだから……」
「あ、じゃあ! オレ、傘を……! 」
「ありがとう、でも、獄寺君濡れちゃうでしょう?」
「いえっ! ぜんっぜん構いません!!」
必死な獄寺のやり取りを見ながら、
ああ、確かにこれは、とオレは思う。
獄寺はゴミ袋と玄関と、ちらちらちらちら忙しなく目線を移動させて、
ああ、獄寺はずーっと着信待ちだ。
永遠にドキドキしながら着信待ちだ。
たしかにこれは、きもちわりー、かもなあ。
獄寺が押し問答しているうちにまた玄関が開いて、
今度こそツナが出てきた。
で、タイミング悪く、
「おはよう」の声より先にドアが獄寺の背中に激突して、
獄寺は振り返って思いっきり犯人を睨みつける。
睨みつけて、犯人の正体を知って、顔が真っ青になって、
でも真っ青になったままニヤけだすから、すげぇ顔。
上擦ってひっくり返った声で叫ぶ。
「おっ、おはようございます!! 10代目!」
「お……おはよ、獄寺君。」
ああ、たしかにこれは、『きもちわりー』かなあ。
でも、『少女マンガ』みたいかなあ?
これを少女漫画と言うなら、
まさかコレ、『恋』とかゆうのかなあ、なんて、オレは思ったりする。
獄寺と違って女兄弟が居ないのでわからない。
ツナが傘を開く。
傘もう一つ分距離を開けて、獄寺が後に続く。
雨の通学路を歩き出す。
(あ、ゴミ袋持ってる。)
「おはよ、山本。」
「おっす。ツナ。あ、なぁツナ、昨日のアレ視た?」
「あー、うん。視た視た!」
オレは特には『どきどき』しないので、
着信を待つまでもなく向こうからかかってきたので、
オレはツナとちっとも気持ち悪くない男子中学生らしい朝の挨拶をしたら、
やっぱり獄寺はぎりぎりーっと睨んでいた。
「あの、獄寺君。」
「はいっ! なんですか10代目!」
「いや、えと。あの。ゴミ捨て場、過ぎちゃったよ?」
「あ、すみません! すぐ戻ります!」
ああ、獄寺はやっぱちょっと『きもちわりー』や。
で、オレとツナの会話はちっとも気持ち悪くないから、
オレはツナが好きだけど、これはきっと恋じゃない。
つまり
オレに『きもちわりー』なんて言うなんて、
じゃあ獄寺は時々『きもちわりー』なんて思ってるんだ。
今朝のオレは、どうだったのかなあ。
獄寺に聞いてみてみようかと思ったけど、
これは聞かない事にした。
あーあ。
オレも『きもちわりー』のかな?
とりあえず、着信音はどーにかしねーと。
だってこのままじゃ、獄寺の言う通り『えーえんにどきどき』してしまう。
それは困る。
ああでも、着信音変えるのめんどくさいな。
このままでもいいかな。
今日夜更かしして取説とにらめっこしながらそんな事するよりは、
早く寝て明日早起きする方が、
ぬかるんだグラウンドで自主トレする方が、
雨の中ロードワークする方が、
そっちのほうがいい気がする。
いや、それは、オレが野球が好きだからじゃなくて。
なくて……なんだろう。
今日は雨が降ってる。
三人とも傘を広げて歩いてる。
お互いちょっと遠いから、今日は黙って歩いている。
獄寺はきっと今、ツナからの着信待ちで
『えーえんにどきどき』している。
『えーえんにどきどき』してるから、
あの傘の下では『きもちわりー』の雨が降って獄寺を濡らしてる。
オレの傘の下は、何が降っているんだろう。
冷たい空気は嫌いじゃないから、
やっぱり今日は早く寝て、
明日は雨でも傘をささずにロードワークに行こうと思った。
二度寝してる布団の中じゃなくて、息を弾ませてランニング中なら、
きっと『えーえんにどきどき』なんかせずに着信を待っていられる。
|| STOP
言い訳反転>
初めて書いた中学生の山本の一人称の山ヒバ。
山本が、あまりにもフリーダムに勝手に喋り続けるのでとても困った。
さすが山本。
この山本語は注釈入れなきゃわからないだろ、書き直そう。
と思ったまま、手のつけ用がなくてお蔵入り。
ほんと、さすが山本。
PR
08在庫整理第四弾。
完成済み。
>PLAY
研ぎ澄まされた刃の上を、蝸牛が這う。
触れれば切れるような刃なのに、
蝸牛は臆することもなくのうのうと、のろのろと歩む。
這った跡が濡れた様にぬらぬらと光る。
柔らかな舌先でさえ、触れれば切り裂く刃なのに。
来客が襖を開けた。春の通り雨のような、音もなく近付いてくる気配で誰だかわかっていたので、顔を上げる必要もない。
また君か、と言ったら、またオレだよ、と、妙に拗ねたような声でかえってきた。
珍しい。
「オレだってたまにはツナの護衛したいのにさー、獄寺の奴ぜってーゆずんねーの。またオレが日本行き。」
傍らに刀を置いて、膝を立てる。腰を下ろす。その所作だけは板についている。その所作以外はまるでなっていない。
だらしなく胡座を掻くと、こともあろうか勝手に脇息をとりあげて__僕の側にあったものだ。それを文机越しに持ち上げて__自分の胸の前に置くとそれにだらりと身体を預けた。
「昔はすぐムキになったから勝ち目あったけど、最近妙に余裕なんだよなあ。オレ、獄寺みたく頭よくねーもん。真っ当に口論じゃ敵わねーし」
あーあ、本当にオレ、ツナの顔見て帰ってきただけだなぁ。
そっぽを向いて似合わないため息を一つ吐いて、男は話を終わりにする。顔をこちらに向ける。
「そんな訳でヒバリ。マカオのなんとかって言うのがやられたって。やったのがどこかと、そこの持ってたリングとボックスの行方しらね?」
「霧だったから、あげないよ。」
「あ、やっぱり。後始末は? ヒバリのことだからしっかりやってるんだろーけど。」
「さあ。細かいことは忘れたな。哲に聞いてよ。」
「ヒバリが忘れてることは草壁サンも忘れてるよ。」
眉根を寄せる。
「参ったな、どこから調べよう。つか、ヒバリひどくねえ? どーせオレが来るってわかってんだからもっとわかりやすく隠蔽してくれても……。どのみち、オレも報告するときにキッツイところは書き換えるんだし。」
それから、乾いた笑い声を漏らした。
「ダメだな。すっかり慣れちまってる。そりゃ、ツナの右腕はもう無理だよなぁ」
知らない奴が死んでも、やっぱ知らない奴だしな。
山本は、今度こそ脇息に顔を埋めて、あーあと呟いた。
「沢田綱吉の何処がそんなにいいんだか。」
一瞬遅れて、目線だけ上に上げる。
「君に、あの赤ん坊に、なんでみんなあの男の周りに集まるのかな。この世の謎の一つだね。」
山本が顔を上げる。行儀悪くヒトの顔を指差す。
「ヒバリだって、集まってるうちの一人だろ。」
「つまらない冗談だね。」
僕は動いてなどいない。君が勝手に行ったり来たりして繋いでいるだけだ。
「へーへー。ヒバリ様の仰る通り。そーゆーことにしときやしょう。」
おどけて言うと、男は脇息から体を起こした。
もう行くのか、忙しない奴だ。
と、思ったらまたぺたりと身体を伏せて、下から僕の顔を覗き込んだ。
「なあ、」
「何? 話が済んだならさっさと行けば?」
男は聞く耳を持たない。
「なあ、さっきのあれ、もしかしてヒバリ拗ねてた?」
「……何の話?」
「最初の話。沢田綱吉のどこがいいんだかって、あれ。」
ああ、蝸牛のような男だ。
今更理解するなよ、莫迦。
笑うな。そのニヤケ面を仕舞え。
|| STOP
言い訳反転>
ヒバリに「どこがいいんだか」って言わせたかっただけ。
他の原稿が頭塞いでたので完成させるの忘れてた。
あはは。
完成済み。
>PLAY
研ぎ澄まされた刃の上を、蝸牛が這う。
触れれば切れるような刃なのに、
蝸牛は臆することもなくのうのうと、のろのろと歩む。
這った跡が濡れた様にぬらぬらと光る。
柔らかな舌先でさえ、触れれば切り裂く刃なのに。
来客が襖を開けた。春の通り雨のような、音もなく近付いてくる気配で誰だかわかっていたので、顔を上げる必要もない。
また君か、と言ったら、またオレだよ、と、妙に拗ねたような声でかえってきた。
珍しい。
「オレだってたまにはツナの護衛したいのにさー、獄寺の奴ぜってーゆずんねーの。またオレが日本行き。」
傍らに刀を置いて、膝を立てる。腰を下ろす。その所作だけは板についている。その所作以外はまるでなっていない。
だらしなく胡座を掻くと、こともあろうか勝手に脇息をとりあげて__僕の側にあったものだ。それを文机越しに持ち上げて__自分の胸の前に置くとそれにだらりと身体を預けた。
「昔はすぐムキになったから勝ち目あったけど、最近妙に余裕なんだよなあ。オレ、獄寺みたく頭よくねーもん。真っ当に口論じゃ敵わねーし」
あーあ、本当にオレ、ツナの顔見て帰ってきただけだなぁ。
そっぽを向いて似合わないため息を一つ吐いて、男は話を終わりにする。顔をこちらに向ける。
「そんな訳でヒバリ。マカオのなんとかって言うのがやられたって。やったのがどこかと、そこの持ってたリングとボックスの行方しらね?」
「霧だったから、あげないよ。」
「あ、やっぱり。後始末は? ヒバリのことだからしっかりやってるんだろーけど。」
「さあ。細かいことは忘れたな。哲に聞いてよ。」
「ヒバリが忘れてることは草壁サンも忘れてるよ。」
眉根を寄せる。
「参ったな、どこから調べよう。つか、ヒバリひどくねえ? どーせオレが来るってわかってんだからもっとわかりやすく隠蔽してくれても……。どのみち、オレも報告するときにキッツイところは書き換えるんだし。」
それから、乾いた笑い声を漏らした。
「ダメだな。すっかり慣れちまってる。そりゃ、ツナの右腕はもう無理だよなぁ」
知らない奴が死んでも、やっぱ知らない奴だしな。
山本は、今度こそ脇息に顔を埋めて、あーあと呟いた。
「沢田綱吉の何処がそんなにいいんだか。」
一瞬遅れて、目線だけ上に上げる。
「君に、あの赤ん坊に、なんでみんなあの男の周りに集まるのかな。この世の謎の一つだね。」
山本が顔を上げる。行儀悪くヒトの顔を指差す。
「ヒバリだって、集まってるうちの一人だろ。」
「つまらない冗談だね。」
僕は動いてなどいない。君が勝手に行ったり来たりして繋いでいるだけだ。
「へーへー。ヒバリ様の仰る通り。そーゆーことにしときやしょう。」
おどけて言うと、男は脇息から体を起こした。
もう行くのか、忙しない奴だ。
と、思ったらまたぺたりと身体を伏せて、下から僕の顔を覗き込んだ。
「なあ、」
「何? 話が済んだならさっさと行けば?」
男は聞く耳を持たない。
「なあ、さっきのあれ、もしかしてヒバリ拗ねてた?」
「……何の話?」
「最初の話。沢田綱吉のどこがいいんだかって、あれ。」
ああ、蝸牛のような男だ。
今更理解するなよ、莫迦。
笑うな。そのニヤケ面を仕舞え。
|| STOP
言い訳反転>
ヒバリに「どこがいいんだか」って言わせたかっただけ。
他の原稿が頭塞いでたので完成させるの忘れてた。
あはは。
<山本練習中。これは没パターン。山本が自分から雲雀に心情を吐露するとは思えないので。>
でもやっぱ、一番は野球だよな、と山本は思う。
親父から剣道を習った。スクアーロと戦った。死んでしまったと、オレが殺したんだと思った。結果的には、生きていたけれど。
自分自身も体中幾筋も斬られてたくさん血を流して、流させて、片目の視界を失って、大量出血による貧血と後悔でふらつく頭で、遊びじゃないって言うのはこういうことかと認識した。
なにを手にしようとしても距離感が掴めなくて手に力が入らなくてそれはすとんと山本の手から滑り落ちてしまったし、晴れた空も白い雲も、よくランニングにいく川縁の草むらも、すべてグレイにくすんで見えた。すべてが灰色で、それが突然暗転して真っ暗の中に赤い雨がぼたりと落ちて来て、足下で撥ねて小さな紅い王冠を作る。雫が撥ねて、土色に汚れた、元は白かったシューズに赤い点を残した。
あ、と思って空を見る。
雨なんて降っていない。赤い血なんて降っては来ない。貧血と眼帯のおかげでくすんで見えるだけで、変わらぬ青空が広がっている。
これが剣の世界か、と、山本は納得した。
それで親父はオレが野球をするのをあんなに喜んだのか。
グレイの空は長くは続かなかった。
スクアーロは生きていたし、眼帯は3日で取れた。
空の色は青に戻って、磨き抜かれた投球練習用のボールは真っ白で、つまり元通りの世界だ。
バットもボールも元通り手に馴染んで、数週間手を放していたなんて、ほんの数日掴むことも出来ない時間があったなんて嘘のようだった。
やっぱ一番は野球だよな、と、山本は思う。
これは疑いようがない。
一番は野球だ、でも。
参ったよなーと山本は頭を掻く。
たくさん、二番が出来てしまった。今までは、一番以外なんにもなかったのに、今は、一番ごしにいろんなものが見える。
たとえば、バッティングセンターで140kmの球を前にする。バットを構えてヒットを打つ、はずなのに、一直線に飛んでくる白球は斬撃に見える。打ち返すというよりは、切り捨てたいと思う。金属バットの甲高い音と、それからグリーンのネットに弾き返されたボールが飛び込む音、ホームランおめでとうの安っぽいメロディ。
なんか、ちがうよなあ。と、山本は思う。
目が慣れたのかと思って150kmの台の前に立ってみた。
確かに時速10km分ボールは速かったけれど、やっぱり何かが違った。
「つーわけでヒバリ、相手して。」
でもやっぱ、一番は野球だよな、と山本は思う。
親父から剣道を習った。スクアーロと戦った。死んでしまったと、オレが殺したんだと思った。結果的には、生きていたけれど。
自分自身も体中幾筋も斬られてたくさん血を流して、流させて、片目の視界を失って、大量出血による貧血と後悔でふらつく頭で、遊びじゃないって言うのはこういうことかと認識した。
なにを手にしようとしても距離感が掴めなくて手に力が入らなくてそれはすとんと山本の手から滑り落ちてしまったし、晴れた空も白い雲も、よくランニングにいく川縁の草むらも、すべてグレイにくすんで見えた。すべてが灰色で、それが突然暗転して真っ暗の中に赤い雨がぼたりと落ちて来て、足下で撥ねて小さな紅い王冠を作る。雫が撥ねて、土色に汚れた、元は白かったシューズに赤い点を残した。
あ、と思って空を見る。
雨なんて降っていない。赤い血なんて降っては来ない。貧血と眼帯のおかげでくすんで見えるだけで、変わらぬ青空が広がっている。
これが剣の世界か、と、山本は納得した。
それで親父はオレが野球をするのをあんなに喜んだのか。
グレイの空は長くは続かなかった。
スクアーロは生きていたし、眼帯は3日で取れた。
空の色は青に戻って、磨き抜かれた投球練習用のボールは真っ白で、つまり元通りの世界だ。
バットもボールも元通り手に馴染んで、数週間手を放していたなんて、ほんの数日掴むことも出来ない時間があったなんて嘘のようだった。
やっぱ一番は野球だよな、と、山本は思う。
これは疑いようがない。
一番は野球だ、でも。
参ったよなーと山本は頭を掻く。
たくさん、二番が出来てしまった。今までは、一番以外なんにもなかったのに、今は、一番ごしにいろんなものが見える。
たとえば、バッティングセンターで140kmの球を前にする。バットを構えてヒットを打つ、はずなのに、一直線に飛んでくる白球は斬撃に見える。打ち返すというよりは、切り捨てたいと思う。金属バットの甲高い音と、それからグリーンのネットに弾き返されたボールが飛び込む音、ホームランおめでとうの安っぽいメロディ。
なんか、ちがうよなあ。と、山本は思う。
目が慣れたのかと思って150kmの台の前に立ってみた。
確かに時速10km分ボールは速かったけれど、やっぱり何かが違った。
「つーわけでヒバリ、相手して。」
おもっきしメモです。
かきつけです。
小説じゃありません。
山本さんは刀片手に雲雀さんトコに遊びにいくようになりました。
遊び=決闘。
好戦的だなあんたら。
いつもは互角なのに、珍しく山本さんが数連敗しました。
「君の実力ってその程度なの? つまらないな。
決めた。次、僕に負けたら、その時は本当にかみ殺す」
「ははっ。参ったなーそりゃ。次は本気で命がけかー」
山本は立ち上がる。服とか破れてる。
「じゃあさ、ヒバリ。交換条件。次、オレが勝ったらヒバリをオレにくれね?」
「……何言ってるの?」
「次負けたら、オレのこと殺していいよ。ヒバリにオレをやるよ。
そんかわり、オレが勝ったら、オレはヒバリが欲しい。」
沈黙が長くて、山本はつい、一晩でいいよ、なんて言いたくなる。
そうじゃなきゃ、冗談だよ。でもそれは、冗談じゃないから言わない。本気だから言わない。
(……あ、でも逃げたい。つけたそうかな、一晩でいいって。でもな、情けなさすぎるよな。)
雲雀が息を吐く。
「…………いいよ。好きにすればいい。」
「え? マジ?」
「僕が負けるわけないからね。どうでもいい。
次、君に勝って、君を殺して、このゲームもおしまいだ。そろそろ飽きたしね。」
でも、次の試合、山本が勝っちゃうんですね。(お約束)
「えー……と? オレ、勝った?」
トンファーははじき飛んでいる。
山本の刀の切っ先が、壁を背に膝をついた雲雀の喉元にあたっている。
「君はこの状況から僕に負ける可能性があると思うの?」
「……ない、かな?」
ばかじゃないの。
雲雀は呟く。
「僕の負けだよ、好きにすればいい。」
「え? いや。でも……」
正直流石の山本も予想外。
雲雀は立ち上がる。
山本の刀を蹴り飛ばして、真っ直ぐに顔を見つめて、繰り返す。
「好きに、すればいい。」
「ヒバリ……」
で、まあ再びお約束にぬぎぬぎさせるところまでは
雲雀さん素直
なんですがイザってところで。
「なにそれ。君は僕に四つん這いになれって言うの?」
(え、ヒバリ、嫌がるのそこなの?)
まあ、一回目はそんなオチ希望。
かきつけです。
小説じゃありません。
山本さんは刀片手に雲雀さんトコに遊びにいくようになりました。
遊び=決闘。
好戦的だなあんたら。
いつもは互角なのに、珍しく山本さんが数連敗しました。
「君の実力ってその程度なの? つまらないな。
決めた。次、僕に負けたら、その時は本当にかみ殺す」
「ははっ。参ったなーそりゃ。次は本気で命がけかー」
山本は立ち上がる。服とか破れてる。
「じゃあさ、ヒバリ。交換条件。次、オレが勝ったらヒバリをオレにくれね?」
「……何言ってるの?」
「次負けたら、オレのこと殺していいよ。ヒバリにオレをやるよ。
そんかわり、オレが勝ったら、オレはヒバリが欲しい。」
沈黙が長くて、山本はつい、一晩でいいよ、なんて言いたくなる。
そうじゃなきゃ、冗談だよ。でもそれは、冗談じゃないから言わない。本気だから言わない。
(……あ、でも逃げたい。つけたそうかな、一晩でいいって。でもな、情けなさすぎるよな。)
雲雀が息を吐く。
「…………いいよ。好きにすればいい。」
「え? マジ?」
「僕が負けるわけないからね。どうでもいい。
次、君に勝って、君を殺して、このゲームもおしまいだ。そろそろ飽きたしね。」
でも、次の試合、山本が勝っちゃうんですね。(お約束)
「えー……と? オレ、勝った?」
トンファーははじき飛んでいる。
山本の刀の切っ先が、壁を背に膝をついた雲雀の喉元にあたっている。
「君はこの状況から僕に負ける可能性があると思うの?」
「……ない、かな?」
ばかじゃないの。
雲雀は呟く。
「僕の負けだよ、好きにすればいい。」
「え? いや。でも……」
正直流石の山本も予想外。
雲雀は立ち上がる。
山本の刀を蹴り飛ばして、真っ直ぐに顔を見つめて、繰り返す。
「好きに、すればいい。」
「ヒバリ……」
で、まあ再びお約束にぬぎぬぎさせるところまでは
雲雀さん素直
なんですがイザってところで。
「なにそれ。君は僕に四つん這いになれって言うの?」
(え、ヒバリ、嫌がるのそこなの?)
まあ、一回目はそんなオチ希望。
vsヴァリアー、大空戦中。
「雲雀のやつ何考えてやがんだ」
前を行く獄寺が言った。
苛々と。
「何って、あれだろ。並盛の風紀 」
「だからそれって何だって言ってんだよ」
さあ。なんだろな。
角を曲がれば体育館の入口。という所で遠くで爆発音がしてでっかいコンクリートの塊がとんできた。壁にぶつかってべっこり大きな凹みが出来る。
ああ、雲雀が見たら怒るなぁ。
オレは上空の爆発の犯人、ザンザスを見る。
つか本当、穏やかじゃねーよなー。
隣で戦ってるツナを見る。
あいつも本当は……つか、ツナは本当に、こーゆーの好きじゃねぇのに
ツナは、平和なのが好きだ。普通なのが好きだし、オレも普通のいつものツナが好きだ。
オレはどーだろ。
また飛んで来た破片をよけて、考える。
正直、結構楽しい。
きっといつも野球してるからだ。
いつだって真剣勝負だし、そういうのは好きだ。それに、オレは最初っからあんまりふつうじゃない。
負けたこととか、あんまりないのな。
つまらない。と思ったこともある。オレも普通ならよかったって。
でも、そんなの思い上がりで、県大とか地区とか全国とか、オレより強いのは大勢いる。そいつらと試合するのは、楽しい。きっと、本気で野球してきたのは、本気でやらなきゃオレより強いやつとは対戦出来ないからだ。いま、野球じゃないのにけっこー楽しいのは、周りがみんなオレより強いからだ。
あー、オレ普通じゃなくてよかった。
ああそっか
なんとなく、オレは理解した。
じゃあきっと雲雀は強すぎるんだ。だからきっとつまんなくて、拗ねてんだ。
オレはなんだかおかしくなってきた。
うん。なにかって言うと噛み殺すっていうあの態度、遊び相手が欲しいんじゃないか? 一人だけ普通じゃないから退屈で、拗ねてんじゃないのか?
あー、これが終わったら、こんど応接室に遊びに行ってみよう。野球、は、したくねーだろーから、刀持って。
普通の平和を見下ろして、一人だけ退屈を持て余してるうちのエースに。
「雲雀のやつ何考えてやがんだ」
前を行く獄寺が言った。
苛々と。
「何って、あれだろ。並盛の風紀 」
「だからそれって何だって言ってんだよ」
さあ。なんだろな。
角を曲がれば体育館の入口。という所で遠くで爆発音がしてでっかいコンクリートの塊がとんできた。壁にぶつかってべっこり大きな凹みが出来る。
ああ、雲雀が見たら怒るなぁ。
オレは上空の爆発の犯人、ザンザスを見る。
つか本当、穏やかじゃねーよなー。
隣で戦ってるツナを見る。
あいつも本当は……つか、ツナは本当に、こーゆーの好きじゃねぇのに
ツナは、平和なのが好きだ。普通なのが好きだし、オレも普通のいつものツナが好きだ。
オレはどーだろ。
また飛んで来た破片をよけて、考える。
正直、結構楽しい。
きっといつも野球してるからだ。
いつだって真剣勝負だし、そういうのは好きだ。それに、オレは最初っからあんまりふつうじゃない。
負けたこととか、あんまりないのな。
つまらない。と思ったこともある。オレも普通ならよかったって。
でも、そんなの思い上がりで、県大とか地区とか全国とか、オレより強いのは大勢いる。そいつらと試合するのは、楽しい。きっと、本気で野球してきたのは、本気でやらなきゃオレより強いやつとは対戦出来ないからだ。いま、野球じゃないのにけっこー楽しいのは、周りがみんなオレより強いからだ。
あー、オレ普通じゃなくてよかった。
ああそっか
なんとなく、オレは理解した。
じゃあきっと雲雀は強すぎるんだ。だからきっとつまんなくて、拗ねてんだ。
オレはなんだかおかしくなってきた。
うん。なにかって言うと噛み殺すっていうあの態度、遊び相手が欲しいんじゃないか? 一人だけ普通じゃないから退屈で、拗ねてんじゃないのか?
あー、これが終わったら、こんど応接室に遊びに行ってみよう。野球、は、したくねーだろーから、刀持って。
普通の平和を見下ろして、一人だけ退屈を持て余してるうちのエースに。
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